影媛
- 名前
- 影媛【日本書紀】(かげひめ)
- 性別
- 女性
- 生年月日
- ( ~ 仁賢天皇11年8月29日)
- 没年月日
- (仁賢天皇11年8月1日 ~ )
- 父
物部麁鹿火 【日本書紀 巻第十六 武烈天皇即位前紀 仁賢天皇十一年八月条】
- 先祖
- 出来事
-
仁賢天皇11年8月
太子小泊瀬稚鷦鷯尊後の武烈天皇。は物部麁鹿火大連の娘の影媛を召し上げたいと思い、媒人に命じて影媛の家に向わせて会うことを約束した。
影媛は既に真鳥大臣の子の鮪と通じていたので、太子との約束を違えてしまうことを恐れ、答えて言うには「私は海柘榴市 の巷でお待ち奉りたいと存じます」と。こうして太子は約束の場所に行こうとして近侍の舎人を遣わし、平群大臣の家に向わせて太子の命で
官馬 を用意するように求めた。
大臣はふざけて表向きには「官馬は誰の為に飼うものではございません。御命令に従います」と言ったが、久しく進上しなかった。
太子は心中恨んだが、忍んで顔には出さなかった。果たして約束の場所に行って
歌場 歌場。此云宇多我岐。の人の中に立った。影媛の袖を取って立ち止まったり歩いたりして誘った。
しばらくして鮪臣が来て、太子と影媛の間を押しのけて立った。
太子は影媛の袖を放し、向きを変えて前に立つと鮪の方を向いて歌を詠んだ。「
之 裒 世 能 一本。以之裒世。易弥儺斗。儺 鳴 理 鳴 彌 黎 麼 阿 蘇 寐 倶 屢 思 寐 我 簸 多 泥 儞 都 摩 陀 氐 理 彌 喩 」鮪が歌で答えた。
「
飫 濔 能 古 能 耶 陛 耶 哿 羅 哿 枳 瑜 屢 世 登 耶 濔 古 」太子が歌を詠んだ。
「
飫 裒 陀 㨖 嗚 多 黎 播 枳 多 㨖 氐 農 哿 儒 登 慕 須 衞 婆 陀 志 氐 謀 阿 波 夢 登 茹 於 謀 賦 」鮪臣が歌で答えた。
「
飫 裒 枳 瀰 能 耶 陛 能 矩 瀰 哿 枳 哿 哿 梅 騰 謀 儺 嗚 阿 摩 之 耳 彌 哿 哿 農 倶 彌 柯 枳 」太子が歌を詠んだ。
「
於 彌 能 姑 能 耶 賦 能 之 魔 柯 枳 一本。以耶賦能之魔柯枳。易耶陛哿羅哿枳。始 陀 騰 余 瀰 那 爲 我 與 釐 據 魔 耶 黎 夢 之 魔 柯 枳 」太子が影媛に歌を贈った。
「
擧 騰 我 瀰 儞 枳 謂 屢 箇 皚 必 謎 施 摩 儺 羅 磨 婀 我 裒 屢 柁 摩 能 婀 波 寐 之 羅 陀 魔 」鮪臣が影媛の為に歌で答えた。
「
於 裒 枳 瀰 能 瀰 於 寐 能 之 都 波 拕 夢 須 寐 陀 黎 陀 黎 耶 始 比 登 謀 阿 避 於 謀 婆 儺 倶 儞 」太子は鮪が既に影媛と通じていることを知った。
父子の不敬の有様を知って顔を赤くして激怒した。
この夜、速やかに大伴金村連の家に向い、兵を集めて策を練った。
大伴連は数千の兵を率いて道を遮り、鮪臣を乃楽山 で殺した。
ある書では鮪は影媛の家に泊り、その夜に殺されたという。この時に影媛は殺された場所に追って行って、その殺されるところを見た。
驚き恐れて心を失い、悲涙が目に溢れた。そして遂に歌を作った。「
伊 須 能 箇 瀰 賦 屢 嗚 須 擬 底 擧 慕 摩 矩 羅 柁 箇 播 志 須 擬 慕 能 娑 幡 儞 於 裒 野 該 須 擬 播 屢 比 箇 須 我 嗚 須 擬 逗 摩 御 慕 屢 嗚 佐 裒 嗚 須 擬 拕 摩 該 儞 播 伊 比 佐 倍 母 理 拕 摩 慕 比 儞 瀰 逗 佐 倍 母 理 儺 岐 曾 裒 遲 喩 倶 謀 柯 㝵 比 謎 阿 婆 例 」
こうして影媛は埋葬も終って家に帰ろうとするときに、むせび泣きして「苦しいことだなあ。今日我が愛しい夫を失ったことは」と言うと、悲しみに打ちひしがれた。
ふさぎ込んで歌を詠んだ。「
【日本書紀 巻第十六 武烈天皇即位前紀 仁賢天皇十一年八月条】婀 嗚 儞 與 志 乃 樂 能 婆 娑 摩 儞 斯 斯 貳 暮 能 瀰 逗 矩 陛 御 暮 梨 瀰 儺 曾 曾 矩 思 寐 能 和 倶 吾 嗚 阿 娑 理 逗 那 偉 能 古 」
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