地震があった。
これより先、允恭天皇は玉田宿禰に命じて反正天皇の殯を任じた。
その地震の夜に尾張吾襲を遣わして、殯宮の消息を観察させた。
このとき諸人は欠けることなく皆が集まっていたが、ただ玉田宿禰だけがいなかった。
吾襲は「殯宮大夫玉田宿禰が殯宮にいません」と上奏した。
また吾襲を葛城に遣わして、玉田宿禰を探させた。
この日、玉田宿禰は男女を集めて酒宴をしていた。
吾襲は状況を玉田宿禰に告げた。
宿禰は問題になる事を恐れて、馬一匹を吾襲に授けて賂とし、密かに吾襲を待ち受けて殺した。
【日本書紀 巻第十三 允恭天皇五年七月己丑条】